健康な親知らずの活用
上下の親知らずが噛み合っており、まっすぐ正常に生えている場合は、無理に抜く必要はありません。健康な親知らずは、将来むし歯や歯周病で歯を失ったところに移植できる場合があります。親知らずを支柱としてブリッジ治療を行い、噛み合わせを修復することも可能です。そのほか、親知らずの隣の歯を抜いた際に、矯正によって親知らずを少しずつ前方に移動させることで、噛み合わせを回復できる場合もあります。
このように、親知らずは入れ歯・ブリッジ・インプラントに次ぐ4つめの選択肢として注目されています。親知らずは元々自分の歯のため、生体親和性に優れており、拒否反応が起こる心配もほとんどありません。さらに、歯のクッション材である歯根膜も一緒に移植できるため、長期維持が期待できます。
自家歯牙移植とは?
自分の歯を失われた部分に移植をする技術があります。
それを“自家歯牙移植”といいます。
他人の歯を移植することは、免疫の問題や感染の危険性から行うことはできません。
親から子、あるいは子から親への移植はできないという意味です。
阿部歯科医院ではこれまで130症例の移植が行われ、約95%が5年以上良好に経過しています。
45歳になる前に移植した⻭の10年後の⽣存率は、90%を超えています。
年齢が高くなると、骨と結合する歯根膜組織の力が弱まるため、移植する場合は早めに行うことをおすすめします。
自分の役に立っていない‘親知らず’を移植することが多く、インプラントのようなチタン性の異物を骨の中に埋入する技術とは異なり、移植後は自分の歯と同じような感覚で使えます。
患者さんの年齢、歯周病の有無、移植する歯根の形、あるいは移植する場所などの条件によって、移植可能な場合と不可能な場合がありますので、歯科医師にご相談ください。
移植するタイミング
歯の移植の理想的なタイミングは、歯を抜歯するときです。歯と親知らずの抜歯を同時に行い、それぞれの歯根膜が残った状態で移植することで、早く治癒します。ただし、歯の大きさが合わない場合は、悪い方の歯を抜歯して、傷が治ってから親知らずを抜歯して移植します。また、根尖病変(根の先の病気)などがあり、骨が大きく欠損している場合は、骨が治癒してから歯の移植を行います。
移植可能な条件
- 不必要な歯がある
- 移植する歯が歯周病やむし歯になっていない
- 移植する歯の根の形態が複雑ではない
- 移植する場所に歯のサイズが合っている
- 年齢が40歳ぐらいまで
当院の症例
元あった歯が虫歯でダメになり、自分の別な歯を移植しまして9年経ちました。全く問題なく使えています。